頭痛の種類
頻繁にみられる慢性頭痛は、以下の3つに分類されます。このうち、注射製剤の適応があるのは片頭痛です。
片頭痛(偏頭痛)
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多くは片側のこめかみにズキンズキンと脈打つような痛み
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数時間〜3日間続くことがある
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吐き気や光・音・においへの過敏を伴う
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ストレス、睡眠不足、月経、天候の変化などで誘発
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女性に多い
(*あくび、倦怠感などの予兆があることも)
緊張型頭痛
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頭の両側を締めつけられるような鈍い痛み(ズーン)
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ストレス、姿勢不良、首や肩の筋緊張が主な原因
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午後になると悪化しやすい
群発頭痛(三叉神経・自律神経性頭痛)
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一定期間に集中して起こる、非常に強い片側性頭痛
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目の奥が痛み、涙・鼻づまり・目の充血を伴う
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アルコールで誘発されることも
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男性に多い
片頭痛の新しい予防治療 ― 抗CGRP抗体製剤
片頭痛治療は頭痛を起こしてからトリプタン製剤や鎮痛薬を内服することで対処していました。頭痛を予防する内服薬もありましたが、効果が不十分な方も多かったのですが、近年、頭痛を予防する新たな選択肢としてCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)を標的とした注射薬が登場しました。効果は内服の予防薬を上回ることが多く注目されています。
CGRPは、三叉神経から放出され、血管の拡張や炎症を引き起こすことで片頭痛を誘発するとされています。これに対する抗体薬により、片頭痛発作の予防が可能となっています。
当院ではエムがルディとアジョビを常備しています。
適応になる方(※保険適用には医師の判断が必要です)
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片頭痛の発作が月4回以上ある方
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日常生活に支障をきたしている
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他の治療法(急性期治療・生活習慣改善など)で十分な効果が得られない方
注射方法・頻度
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エムガルディ:初回2本、その後は月1回 (最初からしっかり効かせるために初回だけ2本注射するようにしたそうです)
- アジョビ:月1回(慣れてきたら院内で3ヶ月分を3本まとめて注射する方法もできます)
いずれも皮下注射で、院内で注射することもできますし、自己注射(在宅)も可能です。当院では院内で私が注射する方が多いです。自己注射(在宅)をご希望の方には使い方を丁寧に指導いたします。毎月注射することでさらにしっかり効果がでてきます。
効果と副作用
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多くの臨床試験で有効性が確認されています(例:アジョビで月の頭痛日数が平均4.3日減少)
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主な副作用は注射部位の痛みや赤みなど(~20%程度)
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ごくまれにアレルギー反応があるため、初回は注射後15分程度の経過観察を行います
費用について
抗CGRP製剤は適応があえば保険適用です。
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エムガルディ(30日効果):初回2本(27,100円:3割)、その後は月1回(13,550円:3割)
- アジョビ(28日効果):月1回(12,400円)(慣れてきたら院内で3ヶ月分を3本まとめて注射する方法もできます。37,200円:3割)
ご相談はお気軽に
片頭痛に悩んでいる方、他の治療で効果を感じられなかった方、ぜひ一度当院にご相談ください。専門的な診断と治療のうえで、注射薬の適応を慎重に判断いたします。
参考情報(外部サイト)
製薬会社が一般向けのわかりやすく説明したサイトになります。片頭痛の生活習慣の見直しに参考になる資料もありますのでご覧ください。